なぜ“ヴィーガン”では悟れないのか?―認知科学・栄養学・宗教学・戦後史から読み解く「偽の目覚め」と本当の自由―
- magic bicycle
- 5月6日
- 読了時間: 5分

こんにちは。世界で学ぶ催眠術師、かずきです。この記事では、「ヴィーガン=スピリチュアル=悟り」という現代的イメージがどこから来たのか、そしてそれが本当に“自由”や“目覚め”につながるのかを、各分野の知見を交えて掘り下げます。
第1章:「誰も傷つけない」食は存在しない
ある日、旅先ジョージアで出会ったロシア人女性・ソフィアに「なぜベジタリアンなのか?」と尋ねたとき、彼女はこう答えました。「健康に良いから」「動物がかわいそうだから」「悟りを得たいから」。
これらの理由は、一見もっともらしく聞こえますが、冷静に分析すると根本的な誤解を含んでいます。
❖ 植物は「感じていない」のか?
2019年の研究(Chamovitz, What a Plant Knows)では、植物が刺激に応じて電気信号を発していることが報告されました。たとえば、切られたり、火に近づけられたりすると、防衛反応として葉を閉じる、特定の化学物質を放出する、電気的な「ストレス信号」を送るなどの行動を示します。
また、シカゴ大学の研究(Gagliano et al., 2014)では、植物が“学習”し、過去の刺激に基づいて反応を変化させる能力(条件反射に類似した記憶のようなもの)を持つことが示されています。
つまり、植物にも「苦しみ」や「快・不快」のような状態があるとするのが、現代の生命科学の潮流です。
❖ 食品の背景にある“構造的な犠牲”
さらに、菜食を支える農業システム自体が、別の命を犠牲にして成り立っています。
アマゾン熱帯雨林の30%以上が大豆栽培地(うち多くは植物性食品・飼料用途)に転換(WWF, 2020)
輸送時に使用される石油タンカーは年間1〜2%の漏出を起こし、それにより約700万匹の海洋生物が死亡(NOAA, 2021)
農薬や除草剤によって土壌微生物が死滅し、昆虫類の約75%が減少傾向(Hallmann et al., PLOS One, 2017)
これらはすべて、「誰かが野菜を食べるため」に必要とされている代償です。
👉 誰も傷つけない生き方は不可能。問題は「何を食べるか」ではなく「どう生きるか」にあるのです。
第2章:健康のための菜食は本当に健康か?
ソフィアの二つ目の理由、「健康に良いから」。これも事実と異なります。特に完全菜食(ヴィーガン)には深刻なリスクがあります。
❖ 栄養欠乏の科学的根拠
栄養素 | 欠乏の影響 | 主な動物性供給源 |
ビタミンB12 | 神経障害・貧血・抑うつ(NIH, 2016) | 肉、卵、乳製品 |
DHA/EPA(オメガ3) | 情報処理低下・うつ症状 | 魚介類 |
鉄・亜鉛 | 免疫不全・注意力低下(Harvard School of Public Health) | レバー、赤身肉 |
タンパク質(必須アミノ酸) | 筋力低下・認知機能障害 | 肉、魚、卵、乳 |
特にビタミンB12欠乏は深刻で、吸収されにくいためサプリメントだけでは不十分です(Higdon, Micronutrient Information Center)。
❖ 実際の老化・脳機能低下の報告
2010年の研究(Tonstad et al., American Journal of Clinical Nutrition)では、長期のヴィーガンが骨密度の低下、皮膚の劣化、集中力の欠如などを訴える割合が高いと報告されています。また、英国の調査(2019年, UK Biobank)でも、ヴィーガンは非ヴィーガンに比べ、脳体積の減少速度が早まる傾向があるという分析がされています。
👉 「脳の性能を落とすヴィーガン」は、悟りの前提条件を失っているのです。
第3章:悟りとは“論理の果て”にある
ソフィアの最後の理由、「悟りたいから」。この言葉に私は、静かな違和感を覚えました。
❖ 宗教家は“論理”を捨てない
仏教(顕教→密教)では、まずロジックと哲学(阿含経、唯識)を学び尽くす
キリスト教の神秘家は、トマス・アクィナスなど、まず神学(スコラ哲学)を極めた後に祈りと体験へ
イスラムのスーフィーも、まずコーランと法学(フィクフ)を修めた後に“ファナー”へ至る
👉 悟りとは「思考を放棄すること」ではなく、「思考を突き詰めた先にある飛躍」なのです。
❖ 認知科学で説明される“悟りの階梯”
認知科学では、以下のようなステップで“意識の拡張”が起きると考えられています:
線形思考の限界(ワーキングメモリの容量制限、抽象処理の誤差)
超並列処理への移行(身体・直感・象徴処理)
自己構造の解体(DMN抑制、ガンマ波同期、脱時間感覚)
(出典:Varela et al., The Embodied Mind, 1991、及びLutz et al., Trends in Cognitive Sciences, 2007)
第4章:「スピリチュアル文化」とGHQの思考設計
1970年代の「スピリチュアルと菜食の結合」は偶然ではありません。
❖ GHQと“癒し社会”の設計
戦後GHQによる思想改造プログラム(Dower, Embracing Defeat, 1999)では、
国家神道の解体
肉体主義・戦闘性の否定
教育の非政治化と“無害な個人主義”の強化
が柱として導入されました。これにより、
国民は「社会構造を変革する力」ではなく、「自分を癒す」ことに意識を向けるよう誘導された。
現代のスピリチュアルやヴィーガンは、まさにこの文脈の延長線上にあると考えられます。
第5章:思考を使い切ってから、はじめて“静けさ”に至れ
フェーズ | 状態 | 到達点 |
① 栄養・肉体強化期 | 肉・魚・多様食 | 強い脳力・認知力の基盤形成 |
② 思考の極限期 | 哲学・宗教・認知訓練 | 論理の限界の自覚 |
③ 鎮静と浄化期 | 菜食・断食・瞑想 | 身体・思考の解体準備 |
④ 無我の超越期 | 変性意識・象徴体験 | 自我の消失と統合体験 |
この順番を逆にすれば、“波動の高い思考停止者”が誕生するだけです。
第6章:あなたは、本当に自由か?
悟りとは、「構造の外側を知ること」であり、自由とは「支配の構造を見抜くこと」です。それは日本における年功序列、性別役割、倫理道徳すらも相対化する視点。
「肉は波動を下げる」と言う前に、スマホがどうやって作られたかを知る。「命を守る」と言う前に、自分の選択がいくつの命を間接的に奪っているかを見る。
この視点に立てたとき、あなたはようやく“マジックのタネ”を見抜ける側に立つのです。
統合的結論
ヴィーガンやスピリチュアルは「思考力をバイパスした悟りごっこ」に堕ちやすい
本当の悟りとは、「論理を極めた先にある沈黙」である
悟りの道には「脳の性能を最大限に使うプロセス」が不可欠
自由とは、“ルールの外側”を知ることで得られるもの
最後に:あなたに問いたい
「脳を使い切って、意識の向こう側に触れたことがあるか?」
もしそれがないなら、今あなたが信じている“目覚め”は、もしかすると、誰かに与えられた「思考停止のトリック」かもしれません。
Comments